「戦後最大の思想家」と呼ばれる吉本隆明。晩年に漏らした慨嘆――その「引き裂かれ」に光を当てる!
 彼は「二つの敗戦」を体験した。
 ひとつは二十歳のときに太平洋戦争の敗戦。「近代」の中での敗戦だった。
 もうひとつは、晩年の今世紀初頭に迎えた敗戦。それは「近代」の敗戦。
 晩年の吉本さんは、明らかに引き裂かれていた。それゆえ、意外な慨嘆を率直に遺した。いったい、晩年の彼に何が起こっていたのか。
 彼の「引き裂かれ」を直視し、遺言(「存在の倫理」)を真摯に受けとめることが、「第二の敗戦」(近現代の敗戦)から歩みを前に進める前提になるはずだ。
  (脈発行所刊の旧版が品切れ絶版のため、新原稿を追加した新装増補版)

四六判、ペーパーバック、218ページ、税別1850円、2020年刊、
インプレスR&D NextPublishing Authors Press
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