プロローグ
職場に籠城/「旗を死守」/「解放区」の空気は澱み/「死んでも守る」 

第一章 出会い
「編集者急募」/「本田、組合を作るぞ」/「あっしにはかかわりのねぇことでござんす」……./「うぉっほん」でマーキングする委員長の加治/書記長は理論派 副委員長は「イロニーの人」/若者たちのアンヴィバレントな心情/「二十にして 心已に朽ちたり」/ひねり潰された従業員の声/切実な要求書の提出/「女の意地」と「赤色エレジー」/無期限ストライキに突入し、春闘妥結

第二章 乱・一
アルバイトの解雇/「労働者使い捨てを許すな!」/正社員だけが守られればよいのか/「就労闘争」の開始/会社側、本訴を起こす/ピケッテイングで解雇撤回を迫る/「居眠りするなっ!」 裁判官に喝/「本田ぁ、おまえはほんとうに狭いなー」/産別組織が「支援を保留」/「猪援会」の発足/ショッキングピンクがはためく! /離れていった人々/写植屋の眼差し/五役員の辞任を発表/社長を問い詰める/社長の心の内/解決の機運高まる/新しい労務担当が登場!/「解雇撤回・正社員化」をかちとる/勝利報告集会で猪山が挨拶/鮒忠で美酒を浴びながら/浮かれてばかりいたわけではない/それぞれの家庭模様/わが児がいる産院の脇をデモ/余震か予兆か

第三章 乱・二
「猪山、逮捕さる!」の報/倉庫売却の提案で追い打ち/万世橋署に向かいシュプレヒコール/東京拘置所での夫婦面会/無期限ストライキに突入/「テメエら、ただじゃすまねえぞ」と不穏な恫喝/「人のブツに仮差しかけやがって!」/二四時間防衛態勢の確立/不安を醸した「カレーライス事件」/われらがピッチャーズマウンド/一〇八日ぶりに保釈/形而下学的実験/月夜の水風呂/ソース焼きそばと魚肉ソーセージ/「いいじゃないの幸せならば」/「食べれば罪を犯すことになるんだからな」/深夜の大通りを見下ろしながら/「あてもないよな スローガン」/「いま、何時?」「うーん、……」/大きなお腹を抱えて職場へ差し入れ/処分撤回」「企業存続・健全経営」で解決/「自分の生き様が問われる」……猪山の思い/倉庫で働く猪山の思い/「綱渡り的な瀬戸際的な」/煎餅を囓りながら――「われらが弁護士」

第四章 乱・三
社長、「青葉城恋唄」を歌う/本社の土地・建物が売却さる/「あのプロ野球審判員」が登場/二四時間「職場防衛」の闘いへ/「明渡合意」は無効!/社長が「辞任」を通告/買主側のオフィスに乗りこんで/刑事事件の画策/指名解雇・懲戒解雇/裁判官が会社側弁護士を叱責!/アルバイトで財政を支える/最後の一本/蛇口から出てくる水は赤く/地下室の冬の蚊/沈黙が支配する会議に/連れあいからの「提案」/デパート屋上のソフトクリーム/内部の「息遣い」/ユーミンのカセットテープ/「今のは手と手が当たっただけ」/「ざっくばらんに言えば、ワケがわからんのです」/ついに明渡しの仮処分申請/本庁公安の登場/私服刑事が自宅に嫌がらせ/警察から呼び出し/明渡し合意に/四八八日間の防衛を解除

第五章 別れ
久しぶりに地上に出て/経営への怒りの褪色/「ああ、団結とはこうして壊れるのだな……」/連れあいの「沈黙」/「意志的な決断」/「社長、一緒にやっていきましょうよ」/「夫、頼るにあらず」/闘いの先鋭化と小数化/「収束」の提案/「清算主義」という批判/「時の流れ」と「変わらない夢」/「皮膚呼吸にしないとね」「加治を放すな!」/東京地検から呼出状/そろそろ議論に決着を/着地の模索/苦渋の選択/掬いあげなければならないこと/収束提案の理由/拡大支援連絡会議の場で/恨み辛みを抱えこまずに――終焉と再出発