橘玲 『テクノ・リバタリアン』 [書評]
テクノ・リバタリアンは、ほんとうに「世界を変える唯一の思想」なのだろうか?
「死」は技術的な問題にすぎないのだろうか?
彼らの考える「自由」とは、ほんとうに「グローバル」のスタンダードだろうか?
「疎外」ということ 『暇と退屈の倫理学』書評 (下)
『暇と退屈の倫理学』 書評 (下)
半世紀少し前には、流行語のように使われていた哲学用語「疎外」。今ではあまり見聞きしない。
國分功一郎さんは、忘れられた「疎外」概念の復権を訴える。心意気、よしとしたい。ただ、そのとらえ方には、少なからず疑問を覚える。
「疎外」とは何であり、21世紀の今、その概念はどう活かせるのか――。
國分功一郎 『暇と退屈の倫理学』 書評(上)
若者によく読まれる哲学書だそうで、なるほど好感がもてる。ただし、〝暁の二段階論〟など、西欧近代的知の枠組に依拠していることに疑問を感じる。あえて、その点について触れてみる。
『パーフェクトデイズ』 PERFECT DAYS
東京・渋谷区の公共トイレ清掃員の生活が淡々と描かれる映画に、こころを静かに動かされた。そこには、日本列島の労働観の一端が反映されている。
正伝寺 借景庭園にて
京都・西賀茂に位置する正伝寺。かつてデヴィッド・ボウイの酒のCMで舞台ともなった、知る人ぞ知る庭園。今回再訪し、素晴らしさをより強く印象づけられた。その魅力とは……。
松本輝夫 『言語学者、鈴木孝夫が我らに遺せしこと』
人間中心主義的な西欧(大陸)の世界観とは一線を画す、日本文化や日本語を世界に広めるべき、と訴える言語学者鈴木孝夫さんの業績・生涯をまとめた好著。
村上春樹 『街とその不確かな壁』 [書評]
同世代表現者として評価してきた村上春樹さん。その新作に覚えた“ものたりなさ”について考えてみる。① 「愛のかたち」 ~「純愛の特権性」~ ② 壁に囲まれた「街」の切実さについて。
柄谷行人 『力と交換様式』 [書評]
集大成の労作だが、西欧近代的知の限界が……。
① 交換様式Dの内実、② 交換における「力」の正体、③ D(ユートピア)の「到来」――核心の3点について批評してみる。
追悼 ジャン=リュック・ゴダール
【雑記帳】 滑稽でもの哀しい物語『気狂いピエロ』/観客に話しかけるフェルディナン/「コカ・コーラ」と「レーニン全集」/大団円の「物語」映画へのうんざり/その後のゴダール/「レーニン全集」が「民族・宗教」へ 映画監督、ジ […]
「あなたの宗教は?」と聞かれたら
【雑記帳】 日本列島人は「無宗教」なのか?そもそも「宗教」という概念が欧米とは異なる。列島文化を動かすオペレーティングシステムを探る――。 先日、Yahoo!ニュースの記事に目を止めた。 「日本では違和感ない「無宗教で […]
ウクライナ侵攻 ロシアの「大義」と「陰謀」の系譜
「目的は手段を浄化する」というネチャーエフの陰謀主義。それと、ツァーリズム、大義の3つが、互いにからみあいながら形成されるロシアの政治的な特殊性。
「立派で美しい大義」が「悪」に転倒する逆説
いまからちょうど半世紀前のこと。若者たちが惹き起こした、大きな社会的事件が二つあった。どちらも、陰惨な悲劇である。その一つが、早稲田大学でのリンチ殺人事件。加害側当事者の一人、自称「アクティビスト」の辻信一さんの発言から考える(『彼は早稲田で死んだ』)。
ありがとう Arigato
【雑記帳】 ~「ありがとう Arigato」 語源と、意味の膨らみ、そして可能性~ 「ありがとう」。おそらく日本語でもっとも使われる言葉だろう。相手へのお礼、感謝の意を持つが、じつは、単にそれにとどまらない膨らみを内 […]