従来の日本列島文化論を超えて 2026年1月23日 新ジャパノロジー覚書 ① New Japanology これまでどれほど多くの日本文化論・日本人論が内外で書かれてきたことだろう。たしかにそれぞれが一側面に光を当ててきた。けれども、列島文化の核心を摘出しているとはいいがたい。新しいジャパノロジーは、どん詰まりを迎えた「近代」を超える道標を示すものでもある。
創業560年の老舗が幕を下ろす 本家尾張屋の「営業終了」 2026年1月19日 応仁の乱の直前に創業した老舗蕎麦処・本家尾張屋。
京の老舗番付で西の“横綱”だった店が、1月に店を閉じた。
私のベスト10 J-POP篇 2025年12月19日 戦後の東京下町に生まれた男が、時代情況の中でどんな流行歌にこころ掴まれてきたのか。私のベスト10を残しておこう。今回はJ-POP篇。「遠くへ行きたい」「いいじゃないのしあわせならば」「北の宿から」……。
旅先で出会ったスタバ 2025年12月10日 2000年代、旅先で探すカフェは、ジャズ喫茶を除けばスバーバックスだった。今ではもうこだわりないけれど、出先で思いがけない店構えのスタバに出会うこともある。
ブレット・デービス『日本哲学 世界哲学への貢献』 [書評] 2025年11月28日 日本には「哲学」がない、と中江兆民は嘆いた(1901年)。日本の学者たちの多くもそう信じ、「哲学」といえば「西洋哲学」と思いこみ、これを世界標準、普遍としてきた。しかし本書はそれを「西洋独占主義的」と内部から批判し、「日本哲学」に期待を寄せる。同時に「日本」が招き寄せる陥穽についても触れる好著。
中島岳志 『縄文 革命とナショナリズム』を読んで 2025年11月12日 戦後社会は、平板で、なれあい的で、ずる賢くこぢんまりまとまり、近代文明の毒で腑抜けになってしまった――そうみなす縄文論者たちは「弥生」的現実に対抗し、「縄文」に変革の根拠を求めた。ただ、そこには「原始」に「イノセント」を見出す思考の危うさも潜む。新ジャパノロジーの立場から感想を記す。
家族終焉論にみる思考の躓き 2025年10月20日 「近代家族の終焉」を宣言しながら、家族に依存する上野千鶴子氏の論はなぜ破綻を来しているのか。問題は、家族、ケア、労働のみならず、近代主義的視点を相対化できない限界にまで及ぶ。 ~近代家族の終焉という捏造③~
上野千鶴子と加藤登紀子の対論 その意外な結末 2025年10月2日 「別に結婚しなくてもよかったんじゃないですか」と問う上野千鶴子。「結婚して、家庭を営むことからわかることはたくさんある」と答える加藤登紀子。非婚・結婚をめぐる対談は、後日、意外な結末を迎える。~近代家族の終焉という捏造②~
江藤淳と上野千鶴子――「近代家族」を呪う兄と妹 2025年9月21日 文芸批評家の江藤淳は近代が招いた“父の不在”を嘆き、“母の崩壊”という喪失に耐えることを「成熟」と呼んだ。社会学者の上野千鶴子は、江藤の論に飛びつき、さらに歩を進め、近代家族の「終焉」を宣言した。
2人は「近代家族」終焉への歌を、あたかも兄と妹のように輪唱した。近代家族は「終焉」したのだろうか。~近代家族の終焉という捏造①~
「あわれ」「もののあわれ」論 2025年8月1日 「あわれ」「もののあわれ」とは何か。なぜか、本居宣長の「あわれ」論は多くの学者たちから誤解され、けなされてきた。
長いときを経て育まれた日本列島文化の水脈を探る。
先崎彰容『本居宣長 ―「もののあはれ」と「日本」の発見―』 [書評] 2025年7月3日 「日本とは」「日本人とは」との問いはつねに本居宣長を招き寄せてしまう。
もののあわれ、色好み、人情、武士道、ナショナリズム……。著者はどうとらえるのか。浮上する課題は?
デル・シャノン 「悲しき街角」 2025年6月19日 苦いような、甘いような、せつなくて傷ついてばかりの青春期に出逢った楽曲は、いまも絶対的であり続ける
ジャズ喫茶 ぶらり寸描(6) YAMATOYA(京都) 2025年5月2日 今世紀初頭、日曜の昼下がりになると通ったYAMATOYA。今回リニューアルされていることに驚いたが、その魅力は健在だった。
渡辺京二『逝きし世の面影』 [書評] 2025年4月14日 かつて「夢のように美しい国」と呼ばれる「文明」が日本列島にあった。ただ、それを喪失の詠嘆としてのみ語り、思考を閉じてしまえば、新しいジャパノロジーを切り拓くことはできない。
エマニュエル・トッド『西洋の敗北』 [書評] 2025年4月4日 西洋はなぜ「敗北」したのか。“宗教のゼロ状態”は何をもたらすのか。
著者は、「西洋」と「非西洋」という対項とは別の地平に立つ日本に希望を託す。
いまこそ、新しいジャパノロジーへ。
宇野常寛 『庭の話』 [書評] 2025年1月24日 SNSプラットフォームが「承認」と「評価」に明け暮れ、閉じられた空間となってしまうのはなぜなのか。打開するキーワードは、「庭」と「制作」。本書の「まっとう」な姿勢を、思想史的視点から読み解く。
九鬼周造の「いき」とユーミンと吉本隆明(下) 2024年12月31日 野暮を承知でいえば、九鬼がとらえる「いき」の構造は危うさも抱えている。それは日本列島文化に関わるものでもあり、吉本隆明はそのことと『共同幻想論』で対峙した。
九鬼周造の「いき」とユーミンと吉本隆明(上) 2024年12月31日 欧米に該当する語がみつからない日本語のひとつに、「いき」(粋)がある。1世紀前に九鬼周造が解明した「いき」は、ユーミンの楽曲のなかにも生きている。
石川啄木 「うたふごと駅の名呼びし 柔和なる 若き駅夫の眼をも忘れず」 2024年12月6日 若い駅員はなぜ駅名を唄うのだろう。
啄木はなぜ若い駅員の眼が忘れられないのだろう。
人はなぜ啄木の歌に惹かれるのだろう。
そして、「はたらく」ということ――。
マルクス・ガブリエル 『倫理資本主義の時代』 [書評] 2024年11月16日 資本主義と倫理のリカップリングは可能か。
「訓練を積んだ哲学者」が倫理的問題を解決できるのか。
ガブリエルさんは西欧近代主義的思考に陥っていないか。
「地獄への道は善意で敷きつめられている」 2024年10月5日 「善意」は人々を幸福に導く――ふつう、私たちはそう思う。逆に、「悪意」こそ人々に不幸をもたらす、と。
なのに、「地獄への道は善意で敷きつめられている」とは、いったいどういうことか
追悼 アラン・ドロン 2024年8月20日 アラン・ドロンの訃報が届いた。ハリウッドの二枚目にはない美と影を持ちあわせる名優だった。時代を共有させてもらった俳優に合掌。
老人と海 2024年8月9日 三島由紀夫は、自分がこの世に生まれ落ちたときの記憶を、小説に書いた。だが、私は、出生時より早い段階のシーンを記憶している……。
橘玲 『テクノ・リバタリアン』 [書評] 2024年7月6日 テクノ・リバタリアンは、ほんとうに「世界を変える唯一の思想」なのだろうか?
「死」は技術的な問題にすぎないのだろうか?
彼らの考える「自由」とは、ほんとうに「グローバル」のスタンダードだろうか?
西行 「何事のおはしますをば知らねども かたじけなさに涙こぼるる」 2024年4月12日 【遺された言葉たち⑥】 西行の目の前に「おはします」のは、山や森、滝であり、ときに神社、お寺だったかもしれない。いやもっといえば、万物である。
富岡町慰霊碑 「原発事故さえなかったら……」 2024年3月7日 新しく建立された富岡町の慰霊碑。そこには、「原発事故さえなかったら……」の想いが刻まれている。
『隆明だもの』と吉本さんの想い出 2024年2月29日 吉本隆明さんの長女、ハルノ宵子さんが父と家族を描いている。
触発され、晩年のインタビューを含め、吉本さんについての想い出を書き残そう。
「疎外」ということ 『暇と退屈の倫理学』書評 (下) 2024年2月23日 『暇と退屈の倫理学』 書評 (下)
半世紀少し前には、流行語のように使われていた哲学用語「疎外」。今ではあまり見聞きしない。
國分功一郎さんは、忘れられた「疎外」概念の復権を訴える。心意気、よしとしたい。ただ、そのとらえ方には、少なからず疑問を覚える。
「疎外」とは何であり、21世紀の今、その概念はどう活かせるのか――。
國分功一郎 『暇と退屈の倫理学』 書評(上) 2024年1月27日 若者によく読まれる哲学書だそうで、なるほど好感がもてる。ただし、〝暁の二段階論〟など、西欧近代的知の枠組に依拠していることに疑問を感じる。あえて、その点について触れてみる。
『パーフェクトデイズ』 PERFECT DAYS 2024年1月12日 東京・渋谷区の公共トイレ清掃員の生活が淡々と描かれる映画に、こころを静かに動かされた。そこには、日本列島の労働観の一端が反映されている。
小林秀雄「女は俺が成熟する場所だった。書物に傍線をほどこしてはこの世を……」 2024年1月7日 書物に傍線をひいて世界を理解しようとするのは、観念の自然過程にすぎない。
これを「小癪な夢」として壊されたとき、人はなにごとかをつかめる。
武田泰淳「お前も気の毒な男さな。食べなければ、餓死するんだし、食べれば……」 2023年12月30日 【遺された言葉たち】③ ~刻まれ、今も消えない言葉~ 「食べ・生きる」ことが招く「罪」と「負い」
与謝野晶子「清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき」 2023年12月22日 【遺された言葉たち】② 二十歳前後でこの歌に出会ったころ、私は「こよひ逢ふ人みなうつくしき」との心情をとても抱けない情況にあった。
マルクス「君は愛をただ愛とだけ、交換できるのだ」 2023年12月15日 【遺された言葉たち】① ~刻まれ、今も消えない言葉~ 君は愛をただ愛とだけ、信頼をただ信頼とだけ、その他同様に…
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ジャズ喫茶 ぶらり寸描(5) ブルーライツ(枚方) 2023年8月28日 自分で建てた50畳の空間に、自家製巨大コンクリートホーンの深い音が響く。
音楽の愉しみを周囲の人と分かちあう、素晴らしきセカンドライフ!
正伝寺 借景庭園にて 2023年6月29日 京都・西賀茂に位置する正伝寺。かつてデヴィッド・ボウイの酒のCMで舞台ともなった、知る人ぞ知る庭園。今回再訪し、素晴らしさをより強く印象づけられた。その魅力とは……。
森 大翔 「オテテツナイデ」 2023年6月2日
羅臼出身、19歳のファーストアルバム。超絶技巧のギターと詞、歌唱が融合する世界。こんな感性、どのようにして生まれたのだろう。
松本輝夫 『言語学者、鈴木孝夫が我らに遺せしこと』 2023年5月17日 人間中心主義的な西欧(大陸)の世界観とは一線を画す、日本文化や日本語を世界に広めるべき、と訴える言語学者鈴木孝夫さんの業績・生涯をまとめた好著。
村上春樹 『街とその不確かな壁』 [書評] 2023年5月2日 同世代表現者として評価してきた村上春樹さん。その新作に覚えた“ものたりなさ”について考えてみる。① 「愛のかたち」 ~「純愛の特権性」~ ② 壁に囲まれた「街」の切実さについて。
柄谷行人 『力と交換様式』 [書評] 2023年1月24日 集大成の労作だが、西欧近代的知の限界が……。
① 交換様式Dの内実、② 交換における「力」の正体、③ D(ユートピア)の「到来」――核心の3点について批評してみる。
ジャズ喫茶 ぶらり寸描(4) DANTE (盛岡) 2023年1月20日 【偏愛名曲】 今は間口を広げたのだろう、ジャズ喫茶と気張らず、ポップス系のレコードも流す、暖かな雰囲気の店。味…
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ジャズ喫茶 ぶらり寸描(3) ペッパー(湯布院) 2022年12月30日 秘湯の趣き漂う湯平温泉での取材を終えタクシーに乗ると、ドライバーさんから意外な提案が……。
そして、湯布院でぶらりと入った店ではジャズが流れていた。
ジャズ喫茶 ぶらり寸描(2) OCTET(山形市) 2022年12月9日 駅のほど近くに位置しながら、ひっそり佇む空間は、マスターの人柄が滲み出ているよう。
ジャズ喫茶 ぶらり寸描(1) ロンド(秋田市) 2022年11月18日 秋田市内の「川反(かわばた)」繁華街には、すっかり夜の帳が下りていた。そこを外れてひっそり佇むジャズ喫茶「ロンド」は、1968年開店という。明治中期に建てられた土蔵を改装した店内にはビル・エヴァンストリオの演奏が……。
追悼 ジャン=リュック・ゴダール 2022年10月16日 【雑記帳】 滑稽でもの哀しい物語『気狂いピエロ』/観客に話しかけるフェルディナン/「コカ・コーラ」と「レーニン…
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「あなたの宗教は?」と聞かれたら 2022年9月16日 【雑記帳】 日本列島人は「無宗教」なのか?そもそも「宗教」という概念が欧米とは異なる。列島文化を動かすオペレー…
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『平成転向論』を読む 2022年8月27日 古層に埋もれていたはずの「転向」という問題を再浮上させた「平成の転向」論。そこに陥穽はないだろうか――。
山下洋輔トリオ『DANCING 古事記』とA君 2022年8月8日 7月、「村上春樹presents山下洋輔トリオ再乱入ライヴ」があった。
遡ること53年前、その原型となるライヴが「貫徹」され、レコードが制作された。
あの時代「何かにつかまれてしまった」者たちとレコードのちょっと苦い物語。
『村上春樹のタイムカプセル 高野山ライブ1992』 2022年6月1日 30年前、高野山で開かれた討論の記録。パネラーだった「吉本隆明教室」の4人とその後。
ウクライナ侵攻 ロシアの「大義」と「陰謀」の系譜 2022年4月25日 「目的は手段を浄化する」というネチャーエフの陰謀主義。それと、ツァーリズム、大義の3つが、互いにからみあいながら形成されるロシアの政治的な特殊性。
「立派で美しい大義」が「悪」に転倒する逆説 2022年3月12日 いまからちょうど半世紀前のこと。若者たちが惹き起こした、大きな社会的事件が二つあった。どちらも、陰惨な悲劇である。その一つが、早稲田大学でのリンチ殺人事件。加害側当事者の一人、自称「アクティビスト」の辻信一さんの発言から考える(『彼は早稲田で死んだ』)。
関係の絶対性 2022年1月31日 秩序にたいする反逆、それへの加担というものを、倫理に結びつけ得るのは、ただ関係の絶対性という視点を導入することによってのみ可能である。
斎藤幸平と先崎彰容 2022年1月31日 若い世代の優れた両論客だ。かつての政治と文学の論争のような地平にとどまることのない、研究と活動の豊かな進展に期待したい。
ありがとう Arigato 2022年1月6日 【雑記帳】 ~「ありがとう Arigato」 語源と、意味の膨らみ、そして可能性~ 「ありがとう」。おそら…
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「世情」 中島みゆき 2021年12月29日 【偏愛名曲】 「世情」 作詞・作曲:中島みゆき、1978年 ◯ユーミンと中島みゆき 荒井由実(のちの松任谷由…
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ラジオ体操の復活 2021年12月28日 【老いについて(1)】 ◯スイミングプールにて 時間のとれる日は毎夕、ジムで泳いでいる。 その時間帯、子ども…
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老講師 2021年12月18日 【忘れがたき人(1)】 ○気になる女の子 小、中、高と、当然のこととして、公立の学校に通った。 塾や予備校と…
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「長い髪の少女」 ザ・ゴールデン・カップス 2021年12月14日 【偏愛名曲】 「長い髪の少女」、1968年作詞:橋本淳、作曲:鈴木邦彦 ザ・ゴールデン・カップスの歌である。…
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「枯葉」 ステファン・グラッペリ 2021年11月25日 【偏愛名曲】 ★楽曲「枯葉」 Les Feuilles Mortes 1947年作詞:ジャック・プレヴェール、…
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